失業保険(基本手当)のしくみと受給までの流れガイド
会社を辞めたあと、次の仕事が決まるまでの生活を支えてくれるのが雇用保険の「基本手当」、いわゆる失業保険である。 ただし、いくらもらえるか・何日分もらえるか・いつから受け取れるかは、年齢・勤続年数・辞めた理由などによって大きく変わる。 この記事では、基本手当のしくみと、受給までの流れ、シミュレーターでわかることを整理する。
失業保険(基本手当)とは
失業保険は正式には雇用保険の 基本手当 と呼ばれ、働く意思と能力があり、求職活動をしているのに就職できない状態の人に支給される。 在職中に給与から雇用保険料を払っていたことが前提で、誰でも自動的にもらえるわけではない。
ポイントは、これは「次の仕事を探すあいだの生活費」を補助する制度だということ。 したがって、すぐに働く予定がない人や、求職活動をしない人は対象外になる。退職後はハローワークで求職の申し込みをするところから手続きが始まる。
受給の主な条件
基本手当を受け取るには、一般に次の条件を満たす必要がある。詳細な要件は人によって異なるため、最終的には必ずハローワークで確認してほしい。
- 雇用保険の加入期間 — 原則として離職前の2年間に被保険者期間が通算12か月以上あること。倒産・解雇など会社都合の場合は、1年間に6か月以上に緩和される
- 働く意思と能力があること — すぐに就職できる状態で、実際に求職活動をしていること
- 失業の状態にあること — 病気・出産・育児などですぐ働けない場合は、受給期間の延長手続きが別途必要になる
もらえる金額・日数を決める3つの要素
基本手当の「総額」は、おおまかに 基本手当日額 × 給付日数 で決まる。この2つを左右するのが次の要素だ。
1. 退職前の給与(基本手当日額)
退職前6か月の給与をもとに「賃金日額」を算出し、そこに給付率(おおむね50〜80%)を掛けたものが、1日あたりに受け取れる 基本手当日額 になる。 給与が低かった人ほど給付率が高くなるよう設計されており、上限額・下限額も年齢区分ごとに定められている。 これらの金額は毎年8月に改定されるため、最新の数値はハローワークの資料で確認するのが確実だ。
2. 退職理由(自己都合か会社都合か)
自分の意思で辞めた「自己都合退職」と、倒産・解雇などの「会社都合退職」では、扱いが大きく異なる。 会社都合(特定受給資格者)のほうが給付日数が多く、受給開始も早い傾向がある。 会社都合は離職時の生活への影響が大きいと考えられているためだ。
3. 年齢と勤続年数(給付日数)
何日分もらえるか(所定給付日数)は、年齢と雇用保険の加入年数の組み合わせで決まる。 一般に、加入年数が長いほど、また会社都合退職のほうが日数は多くなる。 具体的な日数は早見表で区分されており、シミュレーターや窓口で自分の条件に当てはめて確認するのが早い。
受給開始までの流れと「待期・給付制限」
手続きをしてすぐに振り込まれるわけではない点に注意したい。受給開始までの基本的な流れは次のとおり。
- 退職後、会社から離職票を受け取る
- ハローワークで求職の申し込みと受給資格の決定を受ける
- 7日間の待期期間 — 誰でも共通で、この間は支給されない
- 自己都合退職の場合は、待期のあとにさらに 給付制限期間 が設けられ、その分だけ受給開始が後ろにずれる
- 失業の認定を受けながら、指定の認定日ごとに支給される
会社都合退職では給付制限がなく、自己都合よりも早く受け取り始められるのが一般的だ。 このタイムラグを知らないと「思ったより入金が遅い」と慌てることになるので、退職前に流れを把握しておきたい。
退職金にかかる税金も忘れずに
退職時にまとまった退職金を受け取る人は、その税金も気になるところ。 退職金は給与とは分けて計算される「退職所得」にあたり、勤続年数に応じた退職所得控除があるため、税負担は比較的軽くなるよう配慮されている。 とはいえ金額が大きい場合は無視できないため、手取りでいくら残るかを事前に把握しておくと安心だ。
シミュレーターでわかること
当サイトの 失業保険シミュレーター では、年齢・勤続年数・退職前の給与・退職理由を入力するだけで、 おおよその 基本手当日額・所定給付日数・受給開始の目安 を試算できる。 退職金の税金(退職所得にかかる所得税・住民税)の概算もあわせて確認できるので、退職後の家計の見通しを立てるのに役立つ。
まずは自分の条件で試算して、必要な手続きと受給開始の時期を把握しておこう。
※ 本記事は一般的な制度の概要をまとめたものです。給付率・上限額・給付日数などの具体的な数値や、個別の受給可否は条件により異なり、法改正で変わることもあります。正式な金額・手続きは必ずお近くのハローワークでご確認ください。